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映画感想:仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス


『仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ超MOVIE大戦ジェネシス』予告編

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仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシスを見た.公開1ヶ月もすぎて,戦隊VS映画公開待ちということもあって,久々の一人ぼっちの映画館(たしかDr.パルナサスの鏡以来).今回の映画の感想の前に冬の仮面ライダー映画の立ち位置とかを...

 冬の仮面ライダーも,ディケイドとWから始まって7作目.冬の仮面ライダー映画は前ライダーの話,現行ライダーの話,クロスオーバー話の3部構成なのが定番.

 基本的に前ライダーは本編が終わっているので,その後日譚というのが定番.なんだかんだいって,どのライダーも1年見てきての思い入れもあって,どれも面白い話になっていると思う(MEGAMAXのオーズパート,戦国のウィザードパートあたりが好み).

  逆に現行のライダー側は,中々混迷してる.現行ライダーパートは,本編の1話が完成する前に脚本が作られているらしく,どうしても本編との整合性が取りづらくなっている*1.そもそも本編を同時進行で撮影している状態なのもあって,基本的にどの作品も,本編の主役ライダーよりも,ゲストへの話の力点が強めになっていることが多い.オーズであれば復活した信長,フォーゼであれば主役ライダーのガールフレンドの仮面ライダーなでしこ,ウィザードであればリブートのポワトリン,ドライブであれば仮面ライダールパン.現行ライダーパートの出来不出来は,このゲストの魅力次第といえて,傑作とされるMEGAMAXの仮面ライダーなでしこは確かに魅力的だったし,評判のよいフルスロットル仮面ライダールパンもキャラが立っていた.逆に一番評判が芳しくないCOREのオーズの復活した信長は,確かにオーズ本編の「欲望」というテーマには沿っていたけども,流石に主役と関連性が薄かったように思える.ちなみに現行ライダーパートに主役がきちんと絡ませるために,本編のようにフォーゼ以降,準レギュラーキャラが増えたのではないかと勘ぐっている.

 

 

 

 

 上の例外にあたるのは,仮面ライダーWと鎧武.Wに関しては,ゲスト話というより,本編の前日譚といった趣で,現行ライダーパートの中で,完成度が一番高い.ただ,これは仮面ライダーWがディケイドを放送するために,半年ほど準備期間が延びた映画なので,ちょっと事情が違うし,Wにもゲストとして主役の師匠にあたる仮面ライダースカルを登場させている.

 鎧武の戦国大戦に関しては,ゲストとしてイエヤスというキャラがでてくるものの,鎧武の多人数ライダーの強みを活かして複数ライダーを出すことで,主役のでてくる部分を減らすという工夫と映画自体が3部構成ではなく,前ライダーのウィザードパートのあと,すぐにクロスオーバーの話へと以降する2部構成する工夫で,現行ライダー側の負担をかなり減らしているように思えた.

 というわけで,かなり長い前置きだが,今回のジェネシスに関しては,戦国大戦時の2部構成という工夫をさらに進めて,最初からクロスオーバーの1部構成にしている.前述のように,前ライダーパート側は後日談で完成度が高くても,現行ライダーと絡みがない,そして現行ライダーパート側がゲストに重点が当てられてしまうと,これから売り込む側の現行ライダーが,どうにも影が薄いという冬映画の弱点をカバーする意味でも,悪くない.それに,おそらく今回も3部構成としたとしても,後日譚としてはドライブパートは主役の泊進ノ介とベルトさんorマッハとチェイスの一時的な再開の話になってしまい,MEGAMAXのオーズパートとかなり被ってしまったのではないかと思われ,今回もネタにした主人公の結婚話があったとしても,かなり新鮮味が薄れてしまったのではないかと思われる.

 というわけで,全編クロスオーバーの話の作りは,どちらかというと戦隊の春のVS映画の定番にかなり近くて,前ライダーのドライブと現行ライダーのゴーストが出会う,勘違いでバトルだったり*2,ドライブの敵が復活,ゴーストの敵と手を結ぶみたいなVS映画のど定番みたいな展開.冬の仮面ライダー映画で「お前,○○と手を結んだのか」みたいなセリフを聞くとは思わなかった.それに加えて今回の映画のコアになっているタイムスリップネタも,(もっと長いスパンだけども),戦隊のVS映画の定番展開の一つだ*3基本的な話の軸は現行ライダーのゴースト側,そしてドライブ側は先輩としてあくまでも助言役という構造になりがち.でも,今までの冬映画に引っ張られて,ドライブ側の後日譚も展開はしているけど,それはメインじゃないから,ドライブの後日譚を期待していると,どうしても評価しづらい話になってしまう.逆に,現行ライダーのゴースト側,メインストーリーのほうは,少年のときの自分との邂逅と成長という流れで悪くはないのだけども,助言役として先輩ライダーのドライブと父親がいたりとちょっとぼやけ気味.そして,開始早々の本編の世界観とのズレを生じさせない配慮なのか,世界観が曖昧としすぎて,敵役のダ・ヴィンチが何者で,何が狙いなのか,正直わからなすぎて,話に乗れない….

 というわけで,評価はとても低いというか,見ていて盛り上がらない.あと他にも大物を使ったコメディ演出が浮きすぎとか,ダ・ヴィンチが現れるシーンを現在と過去で2回やっていたが,どっちも盛り上がらず,後日譚としてのベルトさん,チェイサー復活がおざなりすぎと欠点も多い.

 いいな,と思ったのは少年時のタケルと現在のタケルが同時にバイクに乗っているシーンとか,元イエローライオンことタケルの父親,龍のアクションが手持ち斧を使った,中々豪快でかっこよかったってとこかなー.ゴースト側の過去での邂逅はもっと盛り上がりそうだったので夏までとっておけばと思ったり...

 

 というわけでマンネリ打破だったり,現行ライダーにフォーカスを当てるという意味で,全編クロスオーバーは悪くないと思う.鎧武外伝とかドライブサーガみたいなOVA展開で,前ライダーの後日譚はフォローする流れとなるのだろうし.でも,やっぱり本編開始早々の冬映画で,現行ライダーピックアップは難しいと思う.むしろ,結局OBライダー主体になりがち春のヒーロー大戦枠*4とMOVIE大戦枠交換をすると全編クロスオーバーも落ち着くんじゃないかと思ったりとかするんだけども....

 

 

 

 

 

*1:有名なのはCOREのオーズパートの主役火野映司の性格が本編とは違ったり,今回も主役の天空寺タケルがアイコンゲットだぜ的な本編では使われていない口癖を使っている.

*2:ライダーバトルが多かった平成一期の反動があった平成二期らしく現行ライダーと前ライダーが勘違いからバトルみたいな展開はあえて外している気がする

*3:ゴーバスターズVSゴーカイジャーキョウリュウジャーVSゴーバスターズと近年でも江戸時代やら恐竜時代にタイプスリップしている.東映太秦スタジオを使って時代劇ロケを使うためなんじゃないかと思ってる

*4:次も藤岡弘、主演の噂もある